14:55

「安達さんって人、とうとう来なかったねー」
「おおっあの人もそうかっ!」
「って、あんたまだやってたの?」
「へへっ 面白いね」
「あんたも結構好き者だねー」
「えっ・・・・いやぁ・・・そんなことないんだけど・・・」
とたんに恥ずかしくなって俯きだす。

龍は社長室に着くと、コホンと咳払いを一つしてから、落ち着いてノックをした。
コンコン
「龍くんだね、入りなさい。」
と、部屋の奥から声がする。
龍は慌ててそこらじゅうを見渡した。
「監視カメラか・・・」
それらしき小さな黒いレンズが天井や足元、至る所に設置されていた。
ドアを開けると そこは、想像を超えた世界だった。
白と淡いグレーのフレンチな絨毯に、ピンクのレザー張りのソファ 壁はシックなベージュの縦ストライプ柄
社長室とは思えない。絨毯と同じ色の彫刻がなされたテーブルの上には、これまたピンク色と白色の
愛らしい生花が活けられている。
だが、この部屋を見渡しても声の主は見当たらなかった。