コンコン・・・ またノックの音が聞え、慌ててミルクから手を離し、
「入りたまえ」
「お菓子をお持ちしました」
次は淡いピンクのフリルが可愛らしいスーツを着た女性が入ってきて、
先に入って来た女性を見るや、両者火花を散らしている。

「おいおい・・・勉強に集中できないじゃないか・・・ハッハッハッ」
ニヤニヤと妄想に思いを巡らしていると、
タンタンタンタンタンタタッ
階下から激しい足音が近づいてきて、龍は淡い妄想から現実へと引き戻された。

タンタンタンタンタッ タッ タタタ

下から黒いタイトスカートのスーツを着た女性が、すごいスピードで階段をかけ上がってきた。

「な・・・・・」
女性は5cmほどの高いヒールを履いているのにもかかわらず、足指の付け根だけで登ってきている。
「後でタコになったりしなんだろうか・・」
アッという間に龍を通り越して上の階へ進む、その女性を見送りながら龍は、そんなことを考えていた。
「親父・・・社員にもケチだからなぁ・・・」
ぽつりとつぶやく。
トボトボと階段を降りながら、現代の働く女性は強いな・・・と関心していた。