龍は目の前に 湯飲みを置かれるまで 一点を見つめ、何か考えているようだった。
もわん・・・とした湯気が、龍の顎をくすぐってようやく、父親が目の前に座ったのに気付いた。
「父さん・・・話って何?」
龍、出されたお茶に手を付けず、腕を組んだまま、父親の方を見ている。
「龍・・・おまえ、ダラダラと家にいてもやっぱり集中して勉強していないだろ?
株をしていると他のことに集中できないからな・・・。」

「それは・・」

「いや、だからだ・・・ お前の20才という良い時期を家でゴロゴロさせておくなんて
俺は不憫で仕方ないんだ。もっともっといろいろちゃんぽんしててもやっていけるだろ?若いし」

「・・・ちゃんぽん?」

「そうだ。 お前、アルバイトしないか?」

「ちょ・・・父さん・・俺ここのバイトはもうやだよー」
自分の膝の上にしな垂れながら言う。

「うん。 お前の為にも ここの仕事じゃ意味がないと思っている」

「え?」