龍はふと、駅の改札口で真理子と口付けをしたことを思い出した。
その後の麻理子が泣いた事も。
龍は フッ と残念そうに、麻理子を見ながら微笑むと、
「俺、どうかしてんな・・」
そう言って、真理子に背を向けてそこからは動こうとしなかった。

ジリジリジリ・・・・
どこからか目覚ましの音が鳴り響いている。
意識が次第にハッキリと現実を知らせてくれている。
と、同時に頭にジンジンと、重い痛みも思い出させてくれているみたいだ。

ん・・・んぅうう・・・いたぁああい

麻理子はおでこを手で押さえながら、その痛みに早く慣れようとしていた。
不思議だった、普段よりも布団の中が暖かい。
これがビールの効果か・・・新陳代謝が良くなったのかな?
と、どうでもいい事を考えていたら、頭の痛みにも慣れてきたのか、
目をゆっくりと開いていく。

すると、自分の目の前に手があった。
自分の両手はおでこを支えている・・・

じゃぁ・・・この手は?
手の主人に目をやると・・・自分の肩にもたれかかっている、龍の寝顔があった。
龍の手が自分の胸の上に力なく寄り添っている。

「うわっ ちょっ・・・・なんでここにいるのっ」