龍は服の内ポケットから携帯電話を取り出して電話をかける。
「もしもし・・・・あ、かぁちゃん? ・・・うん・・・うん・・・・ 今日友達んち来てて・・・・・うん
遅くなる・・・うん。 ご飯は食べたよ・・・・・うん。おやすみ」

携帯電話を折りたたみ、真理子が寝ているベッドの方をジロッと睨む。
ハァーーーッ
両腕を天上に伸ばし、息を吐いた。
そして ゴロンと、ラグの上に寝転がり、そのまま目を閉じた。

また数時間が経つ。

午前2時
むっくりと起きた龍は麻理子の寝ているベッドへずかずかと進む。
真理子の肩に龍の手が伸びる。

「麻理子ちゃん麻理子ちゃん・・・ 俺寒いよ ここ寒すぎるっ 毛布かなんかない?」

「んん? ん・・・ない・・・・んじゃ・・・・な スゥー・・・・・」
又壁の方へ向き直って寝入る麻理子。

ベッドの端に両手を置いてしゃがみこむ龍の手は ブルブルと小刻みに震え、
口からは ススス・・・スィーと歯のすき間から息を吸い込み、上下の歯をきつく噛み合せていた。
「も・・・・だめ・・」

そう言うと、上着を脱いで真理子の上布団をめくり上げると、横に入り込む。
「ふぅ・・・・あったけー」
麻理子に背中を合わせた状態で、布団に包まっている龍。
心地よいぬくもりに幸福感を一杯に感じ、目を閉じていた。