「・・・っくしゅんっ」

麻理子が体を震わせてくしゃみをした。
それを見て

「やべぇ・・・」

とだけ言うと、真理子を立たせて、10キロの米をかつぐように真理子を肩にかつぐ。
「お願いだから・・お願いだから吐かないでっ」
そう呟きながら、足早に階段をのぼっていく。
2階まであがってきたところで足が上に上がらなくなってきた。
3階へ続く階段に真理子を下ろして、その横に座り込む。
真理子がぐったりと自分の肩にもたれかかってきた。
バスでかいだ事のある、真理子の匂い。
龍の記憶の中で、その時の麻理子の言葉が蘇ってきた。

「一緒に座るしかないね・・・」

一瞬にして不機嫌になる龍。
「どうしてだよ・・・ 俺と一緒に座るのが嫌なのかよ。」
真理子の気持ちを探ろうとしてか、 熱い鼻息をフーッフーッと苦しそうにかけてくる真理子の
横顔を見つめる龍。

しばらくすると、足の疲れもやわらいできたので、再び、真理子を抱きかかえて
階段を上がり出す。