「あ!パパパパ! じゃぁさ、家まで・・ううん!大阪駅までタクシーで帰ってもいい?」

「・・・・タクシー・・あるのか? 無いだろ?」
「ええええ~・・・そんなぁ・・・」
「明日 のバスの時間を調べて、 明日ちゃんと帰ってきなさい。 じゃ」

「えっえっ パパ 私どうしたらいいの? ねぇパパ!」
「ガチャ・・・・・・ツー・・ツー」

「や・・・ちょっと・・・ こんなのってないよ こんなのって・・ふぇぇ・・う・・・」
「私・・ここで死ぬのかな? ややこしい設定にしたバス会社を恨みますって
メモって死んでやる・・・」
(ちゃんと読んでいたらわかっていたし、そんなメモを書いて死ぬなんて恥だろ)
心の中の麻理子がつぶやく。

「じゃぁ・・私どうしたらいいのよ」

麻理子の白い頬に涙が伝って 下に落ちていく・・
半透明な涙が白い雪に 沈んでいく・・・
辺りが一層静かに思えた。

「私がここにこうしていることを、 この町の人は知らないんだ・・・」
ぽつりとつぶやいた。
麻理子も 雪や町の建物と同じように 動かない・・血の通っていない物のようになっていた。