龍と向かい合って挟むテーブルの上に 麻理子が頼んだ砂肝1本と、
龍が頼んだ数々の串、そしてビールが並べられた。
その光景を見て、真理子は 一つのことを思い出した。
龍の手がガラスのコップに伸びる。白く、きめ細かい泡と、
コップの表面に浮いた水滴が、中のビールがどれだけ冷えていて、香ばしいのかを表している。

「あ・・・安達さん・・今日、バイクで来たんじゃなかった?」
「あぁ・・・え、 ぬあーーーーーー!なんだよっ だめじゃん飲めないじゃん」
ビールの炭酸がしゅわしゅわと音を出している。
龍は生唾を飲んだ。

「これ・・どうしよう・・・・ あー見てるだけなんて辛れぇよ」
両手で顔を覆い、その手を下にずらしていく。 顔の皮膚が下へとひっぱられて
変な顔になってしまった。
「ぷふっ」
「わかりました。 私が飲んであげます」
「いや・・・飲まれてるのを見てるだけってのも辛いんだけど・・・」
「あははっ じゃぁ目をつむっててくださいよ」
「・・・・・うん。」
唇を尖らせながら、しぶしぶ目をつぶる龍。

ゴクッ・・・ゴクッ プハァ・・ハァ・・ハァ・・・ゴクゴクゴク・・・ハァハァ ウ・・・ケプッ
「おい・・・無理すんなよ 落ち着いて飲みな」
目をつむりながら言う龍。
ん・・・グフッ
声にならない音をもらして、麻理子は再び飲み始める。