龍も麻理子の肩に、両手をついて、どうにか防ごうとしていたが、
倒れた時のスピードと、女性の肩を強くつかむのを躊躇した結果、こうなってしまった。
麻理子は目を見開いたまま、龍の頬や長いまつげを見つめていた。
龍は体制を元に戻すと、静かに麻理子の唇から離れて横に顔を背けた。
麻理子は口を手でふさぎ、龍のしぐさを見続けていた。

顔を背ける姿が 全身で自分を拒否しているかのように見えて悲しかった。
ポロリポロリと小さい小粒状の涙が
口を覆っている手の上に落ちていく。

「うぅ・・・・うっ」
思わず声がもれた。

その声を聞いて龍は麻理子の方を向いてハッとした。
自分の顔を じぃぃっと見つめながら泣いている。

「おいおぃ・・・24にもなって 口が当たったくらいで泣くなよ」
優しく微笑みかけて麻理子の頭をポンポンと叩く。