角を曲がれば 駅付近にあるスーパーが明々と道を照らしていた。
その灯りを頼りに足を進めていくと、スーパーの奥のほうに、柔らかい、改札の灯りを
背中で受け止めながら立っている龍がいた。

自然と口角が上がっていた、
龍は職場の人も気付かない、自分の事を知っている人という気持ちが
麻理子が気付かないうちに リラックスさせてくれているようだった。

麻理子は龍に近づくとゆっくり・・ゆっくり 龍の後ろに回った

「あ・だ・ち・さん」
龍の背後で声をかけて、膝を曲げた。
通称「膝かっくん」
龍は、膝を伸ばした状態で、立ち続けていたので、
麻理子の技にまんまとハマり・・足に力が入らず、よろめいた。

「やーいかっくんってなったー!」
喜んだ麻理子の顔が急に真顔に変わった。
振り向き様に膝をかっくんされた龍の顔が、麻理子めがけて倒れてきたからである。
「えっ・・・・ちょっ」
慌てて両手を差し出して、龍を支えようとしたが・・・
「んむっ・・・・・!!」

龍の唇が麻理子の唇に重なった。