「ひっ・・・」
慌てて麻理子を掴んでいた右手を離した手で自分の口をふさぐ龍。
「お・・俺・・ ベッドで寝てたんだよな? うわっ やっちまったのか? 俺・・ウソだろ?」
「ん・・・ぁ・・ああぁん・・・痛いよ・・痛いよぉ あぁああんもぅ・・」
固く目を瞑って辛そうに呻いている麻理子、自由になった左手で龍の肩を叩く。

「・・・・・・」
そんな麻理子を見て、誤解を確信へと進めた。
(処女・・だったのか? ・・・いや、24歳で処女は今時遅いよな?
あー、結婚する人と初夜でってタイプの女なのか。そうか・・・ まてよ・・・・・じゃぁ俺、すげぇ悪い事したんじゃね?)

「・・・っつ・・・お金払ってこなくちゃ・・ あなたもそろそろ帰る用意した方がいいわよ。朝ごはんはロビーで軽く食べる?」
麻理子はフラフラと起き上がると、ベッドにあるカバンの方へと歩きだした。
時折辛そうに立ち止まるその仕草がいかにも、少女から女へと変わった後の仕草のようで痛々しい。

(あれ?・・意外と淡々としてんだな・・)
麻理子の後姿を眺めながら龍は思った。

麻理子はカバンから財布を取り出して、又玄関の方へと進む、
今度は龍の顔をみようともしないで通り過ぎると 一人でフロントへと出て行ってしまった。