「では、 楽しみにしてますね。」
笑顔で寺山を送る麻理子。

龍はカウンターのカウンターの片隅に置いてあるメモ用紙に村上社員の伝言を書き残して
麻理子の前に置き、 寺山の事しか見ていない麻理子を寂しそうに見つめながら、立ち去り始めた。
その足取りは重く、休憩から帰ってきた、麻理子の同僚がそんな龍を見ても
声をかけれないようだった。

「ちょっと・・ 麻理子～どうしたの？ 安達さんとなんかあったの？」
「あ、おかえり～ ん？ いや？」
龍のメモを片手でヒラヒラと振りながら言った。

「ふ～ん・・・ あ！ そうそう！ 麻理子さぁ～ コンパ行かない？」
「人数、女の子が足りなくてさぁ～ ね？ おねがいっ」
「コンパ？」
「まぁ～ この会社の飲み会みたいなものだけどねっ」
「そうなんだぁ～ それなら安心だね、 知らない男の人って苦手だけど・・・」

「この会社の飲み会と言うことは俺も行っていいんだよね？」

聞きなれた声がした。 もう去ったものと思っていた 龍の声だ。

「あれ？ 安達くん元気になったね、 アハハ」
能天気に龍の背中をバシバシ叩く女性社員。
「あんたも行くのぉ～？ 勉強はぁ？」

「飲み会は夜からだろ？ それまでにちゃんとするさ、
晩飯代わりに参加したいんだよっ」

「ん・・・ご飯はちゃんと食べなきゃね。」
妙に納得してしまい、
何も考えずに龍の参加を承諾してしまった。