「・・・・・・・なんで彼女でもねー女の為に・・・ブツブツ。」

龍の口からとうとう本音が漏れだした。

(しまった・・・この男には大阪駅まで私を無事に連れて行ってもらうまでは機嫌を損ねさせては
いけないんだった・・。)
(ぇえい! こうなったら 私も腹をくくるわ・・・ 相手は年下だしね、
去年までは未成年でお酒も飲めなかった男よガキよガキ、高校生の弟と同じよ。弟と泊まってると思えばいいわ。)

しばし沈黙が続いた。 龍は次の旅館をマップで探そうと、ソファーに腰掛けた。
う・・うーーん・・と悴んだ体を伸ばしながらソファーの柔らいクッションにもたれ掛けるとしばらく起き上がれないで
いるようだった。

「俺、このロビーに泊めてもらおうかな・・ お金もあんま残ってないし。」
そう、小声でつぶやくと 目をつぶって寝るフリをする龍。


「ごめんなさい・・・ あの、 もうお互い外に出るのは嫌ですよね、」

「ん?・・・・・・あぁ。」

「あの・・・私は別に構わないので・・・ 同じ部屋に今晩は泊まりませんか?」

「ぶっっ えええ なんで?」
思ってもいない言葉を聞いて 噴出す龍。
かといって、龍にも 最善の策は無かった。

「あの・・・私、ソファーでも床でも玄関で体育座りでもいいです。 宿泊費は私が払いますし。」