「あら、人聞きの悪い事を。使えるものは何でも使えって真田先輩から教わりましたけど？」


「なっ、酷い女だろ。こうやって人の事を顎で使うんだぞこいつ」


「あっ…あのこれは一体…」


真田常務と谷女史が顔を見合わせて笑った。


「悪かったね、加奈子。そう云う事だよ、ちょっと真田さんにお願いしたんだよ」


「ちょっと…ね。普段集まりもしない現場の頭連中を無理矢理集めさせるのが、ちょっとかよ」


谷女史と真田常務が笑いながら会話をしている。もちろん谷女史は古株なのだから真田常務と繋がりがあって当然だろう。


けれども、この会議自体が仕組まれていたとは思わなかった。



佐久間との約束が頭に浮かぶ…彼女は何処迄話したのだろうか。私が〈カヲル〉のダミーをする事はどうなのだろう…


考え込む私を見て谷女史が告げた。


「そう心配するなよ加奈子。先輩には何も話してないからさ」