嫌な空気が会議室に流れる、佐伯も谷女史も睨みあったままだった。
「まあ、佐伯くんも谷くんも落ち着きなさい」
「けどですね、真田常務…」
上から言われると途端に口調が弱くなる。相変わらず駄目な男だ。しらけた雰囲気の中で営業部長の梶原が声を上げる。
「ねえ谷さん。もしかしてこの佐久間って…昔K通に居た佐久間です?」
「ええ――そう聞いてます」
「そうか…なるほどねぇ」
「何だ、梶原くんは知ってるのか?この佐久間涼って人物を」
「ええ、常務。まだ若いですけど、相当な遣り手です。話題の携帯会社のコンセプトもこの男の仕掛けですね。何せK通を飛び出して潰されるどころか下請けに使うぐらいですからね。業界で知らない者は居ませんよ」
佐久間の存在がそれだけ浸透しているとは思わなかった。頷く真田常務をちらりと見て佐伯は黙り込んだ侭で様子を伺っている。
「ふむ…少し合点がいった。どう考えても素人に出来る演出じゃないと思っていたんだ。なら映画の話も眉唾物じゃないな」
「常務、あの男なら可能性は高いと思います。その程度のスポンサーのネットワークも持っていますし、何より外さない男で有名ですからね…まさか出版にまで絡んでくるとはなぁ」
谷女史が梶原の言葉に付け足す様に口を挟んだ。
「携帯サイトのノベリスター社長からも話は聞きました。あそこの親会社もスポンサーになる事を決めたらしいです。先程、話題に上がった携帯会社ですね」
「まあ、佐伯くんも谷くんも落ち着きなさい」
「けどですね、真田常務…」
上から言われると途端に口調が弱くなる。相変わらず駄目な男だ。しらけた雰囲気の中で営業部長の梶原が声を上げる。
「ねえ谷さん。もしかしてこの佐久間って…昔K通に居た佐久間です?」
「ええ――そう聞いてます」
「そうか…なるほどねぇ」
「何だ、梶原くんは知ってるのか?この佐久間涼って人物を」
「ええ、常務。まだ若いですけど、相当な遣り手です。話題の携帯会社のコンセプトもこの男の仕掛けですね。何せK通を飛び出して潰されるどころか下請けに使うぐらいですからね。業界で知らない者は居ませんよ」
佐久間の存在がそれだけ浸透しているとは思わなかった。頷く真田常務をちらりと見て佐伯は黙り込んだ侭で様子を伺っている。
「ふむ…少し合点がいった。どう考えても素人に出来る演出じゃないと思っていたんだ。なら映画の話も眉唾物じゃないな」
「常務、あの男なら可能性は高いと思います。その程度のスポンサーのネットワークも持っていますし、何より外さない男で有名ですからね…まさか出版にまで絡んでくるとはなぁ」
谷女史が梶原の言葉に付け足す様に口を挟んだ。
「携帯サイトのノベリスター社長からも話は聞きました。あそこの親会社もスポンサーになる事を決めたらしいです。先程、話題に上がった携帯会社ですね」