「処で…お伺いしたいんですけど…」


会社の意向を伝える。今サイトにある小説の出版社が決まっているかだけでも聞かなければいけない。


そうでなければ、又上からの圧力がかかるだろう。


「何?言い出し難そうだよね。当ててみようか?今の小説やコミカライズの件だよね」


佐久間には全てお見通しだった。嫌な男だと思う。皮肉めいた口調でも、態度でもない。


けれども、こうも先回りされると気分は良くない。


「何でもお見通しって事ですね…」


「まあ、想像すればわかるよ。加奈子ちゃんとこからも何度かコンタクトあったしね」


「そうなんですね…書籍からですよね」


「そう、もちろん。ああ、コミックにしないかって話も有ったなぁ。なんだか高飛車なメールで相手にしなかったけどね」


「もしかして…佐伯とか云う担当者ですか?」


佐久間が興味深そうな表情で私を覗き込んだ。勘の良い男は嫌いだ…