初めて自分の企画が通った時は、ただ嬉しいだけだった。


例えその誌面に私の名前が無くても、インタビューをしたり記事を書いたりするのが私でなくともだ。


そうした喜びなど、あっという間に埋もれてしまう。すぐに次の会議が迫り、新たな知恵を求められる。


頼られ信頼される事は勿論嬉しいに決まっている。睡眠を削り、自分を削りここ迄やってきたのだ。


無理遣りに自分を鼓舞して、漸く新しい雑誌の副編集長にまで辿り着いたのだ。その事に悔いはないと思いたい。


慌ただしい編集部に居る時には感じない事が、一人になると押し寄せる。


充実すればする程虚しさも大きくなってゆく。携帯の時刻表示を眺めながらため息が漏れる。


眠らなければいけない。朝になればこの憂鬱も消えてくれるだろう。