「ねえ杏奈。誰よ、その佐久間って」


「元K通の広告屋さん。前に一度仕事したかな?今はフリーなんだけどさ、結構な有名人だよ。外さないんだなぁこれが、失敗したの聞いた事ないもの」


「凄いね、それ。大抵は潰されるんだけどね」


「そうなのよね。妙にスポンサーウケが良いのよ。うちも同じよ、持ち込まれて速攻で協賛決めてたみたいだもの」


「杏奈、それっていつぐらいの話かな?」


「どうかな?流石に金額大きいからねぇ、少なくとも三ヶ月は前じゃない?」


用意周到…全てが計算づくなのだ。考え込む私に恭子が口を開く。


「出来過ぎだよね。素人携帯作家の作品をネタに映画化の話を持ち込む遣り手の広告屋…ねぇ」


恭子が何か言いたげに私を見た。


「まあ良いじゃない。加奈子の雑誌が話題になるなら恭子だって恩恵あるわけでしょ?すぐに廃刊じゃつまんないわよ」


「それもそうだ。そのうち色々聞かせて貰うからね、加奈子」


「そのうちね…」