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「夏子、もうお昼だよ。起きなって」

「ううっ」




伏せていた頭をゆっくりと上げると、そこには大親友の歩美。


ふんわりと巻かれたセミロングが大人っぽさを醸し出している。




「あ、歩美…」

「中庭行こう?」

「うん!」




今日は歩美と、あまり話していない気がする。


それもそのはず。


朝の出来事が不快でテンションも下がり授業中も休憩中も机に伏せていたから。




「今日は良い天気だね」

「そうだねえ」




中央階段を下りながら外の天気に頬を緩ませる歩美。


そんな歩美をほのぼのとした気持ちで見つめていると、下から聞こえてきた声に鳥肌がたった。




「ねーえ、今日は私とデートしよ?」

「今日は他の子との約束があるんだ。ごめんね」

「えー!じゃあいつならいいの?」

「そうだなあ、来月まで予約びっしりだからその後かな」

「それじゃあ夏休みになるじゃん!」




おえっ。


甘ったるい声と、軽蔑させる言葉。


今なら口から血が出そうな気さえする。




「あれ、西本さん?」




階段を下りきると、その男から声をかけられた。