「で、OKしたんだ」
「もう本当っ、最悪…」
翌日。
学校へ行く途中のバスで歩美とばったりでくわした。
昨日の放課後の出来事を歩美に打ち明けると、呆れたような目でため息を吐かれた。
「夏子って、昔からそういうとこあったよね」
「そ、そうかな」
「私のお父さんからも、くだらないこと押し付けられてさ」
「あ、あれは押し付けられたとかそんなんじゃない」
でも昔からというのはあながち間違いではないかも。
喧嘩腰に言われたら、絶対見返してやるわ!って感じに受けて立った。
それが昨日のヘラ男にもでてしまった。
「あんなのただの挑発でしょう?」
「そうなんだけどさ…」
「そのときの感情のままに行動してたら後で後悔する」
「身を以て痛感しております、はい」
「冷静になることは大事」
「はい…」
整理券をぐっと握りしめ、反省する。
窓の外はまだ田舎の風景だった。