思い出したくないのよ、雨のことなんか・・・。

わたしの頭の中で激しい雨が降っている。

そこに小さいわたしは、一人ポツンとうつむいてその雨に打たれていた。

「ねぇ、雫。大丈夫?」

「・・・。」

「ねぇ、雫ってば!!」

実里は、わたしの肩に手をおく。 

「あ・・・ごめん。何か言った?」

わたしは、首をかしげて実里を見る。

「なんか、急に怒ったような顔をしてたよ?大丈夫?」

「あ・・・うん、大丈夫。」

何で、わたしが感情的になってるのよ。

大体、こんな雨のことをわたしに振ってきた実里がいけないのよ・・・!!

「ん~・・・!!」

わたしは、前だけを見つめてうなりだす。