沙織「覚えてる?
崇くんが、道路に飛び込んだ日のこと。
私はその一週間前に両親を事故でなくてしまってね。
もう、人が死ぬのを見たくなかったんだ。
まぁ、精神的なショック状態になった、だけだったんだ。
だから、怪我は軽傷。
打撲とすり傷だけ。
すぐ仕事に復帰できた。
だけど。仕事が思うように行かなくて。
残業続きで疲れしまったの。
そんなときに、崇くんから事故の怪我は大丈夫ですかって連絡が来て。
つい。
専業主婦になりたくなっちゃったんだ。」
そうか。
そうだったんだ。
だから沙織は、仕事をする事が出来たんだ。
誰にも言わずにいてくれたんだ。
俺、なんも気づかなかった。
最後までなにも。