「えー、未来?」

私を起こした男は笑いながら
私の話を聞いた。

「...信じられないでしょ?」

溜息をついて問いかける。


「んー、全く有り得ないって事は
ないんじゃないかなぁ...」

男は無邪気に笑う。

「.......」

「でも、その格好はとっても目立つね」

私の服を指さして言った。

確かに着物で町を行き交う人々の中に
高校の制服は浮いている。

現に、周りの人はヒソヒソと
何かを話しながら不審な目を向けていた。


「そう...ですよね」

私は伏せ目がちに呟く。

「それも...えっと、名前聞いてないや。
名前教えてもらっていい?
僕は、沖田 総司」

沖田と名乗る男は右手を差し出す。

「......媛宮..実.....です」

私も遠慮がちに右手を差し出した。

「可愛い名前だね」

沖田は人懐っこく笑う。

犬みたい...

私はそう思いながら笑った。


「実ちゃん、近くの呉服屋で
着物買おうか?」

それ以上目立つと困るからね、と
沖田は私の手を引いた。

「いや、あの.....」


私は沖田に引っ張られるがままに歩いた。