「全然知らなかった……。」


「モモには絶対言うなって
言われてたからな。

で、そいつが蒼介に脅された反動で
モモに何かしでかすんじゃないかって
蒼介すげぇ心配になったらしくてさ。

その日は、学校早退して
お前のこと
迎えに行ったはずだぞ。」



「あ…そういえば
下校途中にいきなり蒼介さんが
現れたことが……。」



由梨ちゃん達と駅に向かいながら
合コンの話をしていたら
いきなり背後から現れた蒼介さんに
『合コンなんて100年早いっ!』
って、すごく怒られたことがあった。


あの時、蒼介さん
学校早退して来てくれてたんだ。


それなのになにも知らずに
合コンの話をしてたなんて…
私、最低だ…


大切なことはなにも知らないまま
ひとりで勝手に不安になって
私、なにをしてるんだろう…


あの日の蒼介さんを思い出すと
胸がキュウっと熱く苦しくなるような
思いがした。


「蒼介、お前のことになると
周りが見えなくなるからな。

怖すぎるっつうの。」


そう言ってため息をついたお兄ちゃんが
今度はいたずらな眼差しを私に向けた。



「あ、ついでに、
そのストーカー野郎については、
お兄ちゃんがしっかりフォローしておいたから。


モモは心配しなくて、大丈夫だからな。」



「え?」