蒼介さんの教室の前で
ソワソワと落ち着かない気持ちで、
蒼介さんを待つ。


すると、

講義室の白い扉に映り込んだ

自分の姿が目に入る。


なんだか、

子どもみたい……



思わずつぶやいて、


ふと、蒼介さんが付き合ってた
年上の元カノさん達を想像する。


こんなことで落ち込んでも仕方ないって
分かってはいるけれど。


胸の奥が、ズシリと重い。



すると、授業を終えた蒼介さんが
教室から出てきた。



私を見つけた蒼介さんは
少し驚いた顔をして近づいてきた。



「モモ?!
わざわざ教室まで来なくても
よかったのに。」


嬉しそうに笑った蒼介さんに
笑顔を返す。



「うん。」



どうしよう……

なんでもないってわかっているのに
さっきの話が頭から離れない。



「蒼介さん、
金曜日って…なにしてるの?」


緊張で指先が微かに震える。


さっきの話、蒼介さんとは
限らないし…



「金曜か?

あー、学校休みなんだよな。

友達に誘われてる。
一樹も来るかもしれないな。」



「私は行っちゃ…だめ?」



蒼介さんの彼女としてじゃなくてもいい。


お兄ちゃんの妹としてでもいいから、
一緒に行っちゃダメかな…



すると、蒼介さんが

怖い顔をして、視線を尖らせた。



「絶対だめ。
ガラ悪いやつらばっかりだから。

お前が来たら
心配で心配で落ち着かない。」



「そっか…」


私なんて連れてったら、
子どもみたいで恥ずかしいのかもしれない。




「でも、途中で抜け出して連絡する。

世話になった先輩が来るから、
先輩に挨拶したら
あとは適当に抜け出すよ。」



「わかった」



いつものように
柔らかい笑顔を向ける蒼介さんを

じっと見つめる。


先輩って…女の人?



蒼介さんに聞けばいいのに
なんだか怖くて聞くことができない。



でも、大丈夫。


信じてるから、大丈夫。