思わず目の前にあった問題を
適当に指差してしまった。
「この問題はさ…」
と、解説を始めた葉山くんを
慌ててさえぎった。
「いいよ、大丈夫だよっ。
わからないところは、
蒼介さんに聞くから」
私の言っていることには
耳を貸さずに、
葉山くんは問題の解説を続けている。
ノートにスラスラと鉛筆を滑らせながら、
葉山くんが
話し続ける。
「俺、教えるの好きだから
教育学部も考えてるんだけど、
つぶしがきかないから、
別の学部で教職取れるとこ
受けるつもりでさ」
頭の中は、
蒼介さんのことでいっぱいで、
本当のことを言えば、
ひとりになりたい。
「佐伯さんはちゃんと考えてるの?
行きたい学部なければ
外部受験になるんでしょ?
なら、早めに進路決めた方が
いいと思うけど。」
「………そっか」
生返事を返す。
「じゃ、せめて、
どの学部狙うか決めた方が
勉強もしやすいんじゃない?
そういうのって、
今のうちしか
ゆっくり考えられないでしょ?」
淡々と話し続ける葉山くんの手元を
ぼんやりと見つめる。
さっきトイレで聞いた「そうすけ」って
やっぱり蒼介さんのことなのかな…
「佐伯さん、聞いてる?」
蒼介さんのことでいっぱいで、
葉山くんの言葉が頭に入ってこない。
「…葉山くんは、
しっかりしてるね」
なんとか、言葉を絞り出すと….
「うん、よく言われる。」
「………。」
適当に指差してしまった。
「この問題はさ…」
と、解説を始めた葉山くんを
慌ててさえぎった。
「いいよ、大丈夫だよっ。
わからないところは、
蒼介さんに聞くから」
私の言っていることには
耳を貸さずに、
葉山くんは問題の解説を続けている。
ノートにスラスラと鉛筆を滑らせながら、
葉山くんが
話し続ける。
「俺、教えるの好きだから
教育学部も考えてるんだけど、
つぶしがきかないから、
別の学部で教職取れるとこ
受けるつもりでさ」
頭の中は、
蒼介さんのことでいっぱいで、
本当のことを言えば、
ひとりになりたい。
「佐伯さんはちゃんと考えてるの?
行きたい学部なければ
外部受験になるんでしょ?
なら、早めに進路決めた方が
いいと思うけど。」
「………そっか」
生返事を返す。
「じゃ、せめて、
どの学部狙うか決めた方が
勉強もしやすいんじゃない?
そういうのって、
今のうちしか
ゆっくり考えられないでしょ?」
淡々と話し続ける葉山くんの手元を
ぼんやりと見つめる。
さっきトイレで聞いた「そうすけ」って
やっぱり蒼介さんのことなのかな…
「佐伯さん、聞いてる?」
蒼介さんのことでいっぱいで、
葉山くんの言葉が頭に入ってこない。
「…葉山くんは、
しっかりしてるね」
なんとか、言葉を絞り出すと….
「うん、よく言われる。」
「………。」