教室を出ると、
蒼介さんがこっちに向かって
歩いてくるところだった。


「モモ?どうした?」



「ううん…。」



はあ…なんでこんなことで
疲れてるんだろう…



「そうか?おいで、モモ。」


蒼介さんが優しく微笑む。


「え?」



「手つなご。」



「う、うん。」



蒼介さんの手は大きくて温かくて、
予備校の廊下を
一緒に手をつないで歩くだけで
心がゆっくりとほどけていく。