「ふーん……。」


不機嫌さを滲ませて
蒼介さんがじっと私を見つめる。


なんだか蒼介さんに心配かけてばかりで
私は、なにしてるんだろう。



情けなくなって、

視線を落とす。



「ごめんね、蒼介さん。

私、数学受けるのやめる。

時間が余ったから体験しただけなの」



「ま、いいよ。

役に立ちそうなんだろ?

俺らがつきあってること、
知ってるなら問題ないだろうしな」



「う、うん、もちろん、知ってるよ」


ぶんぶんと頭を勢いよく縦にふる。



「ま、いきなりモモに
手出してくるような奴でもなさそうだし、

大丈夫だろ」



そう言って
蒼介さんは柔らかい笑顔を見せた。


「私がいると邪魔してばかりで
勉強に集中できないよね。
本当に、ごめんなさい。」



「別にお前が悪いわけじゃないけどさ、
なんかムカつくつうか…

お前がきてくれてると
テンション上がって
めちゃくちゃ集中できるんだけどな。

ただ、モモ、目立つんだよなぁ」


蒼介さんはため息をつきながら
私の髪に指先をからめた。



「じゃあ、これからは予備校じゃなくて
外で待ってるよ?」



「外なんて、ますます危ないだろ。
近くにいた方が安心だよ」


そう言いながら私の頭をポンポンと
優しくたたく蒼介さんを

じっと見つめた。