「葉山くんのお姉さんが
うちの卒業生って聞いて、
それで、数学演習、勧められて…。
葉山くん、
女の子みたいな感じで
あんまり男の子っぽくなかったから
話しやすかったのもあって…
でも、どうしてあんなこと言ったのか
全然わからないよ……。」
「そんなのお前に気があるからに
決まってんだろ?」
ムッとしたまま蒼介さんが
チラリと私をみる。
「違うよ、違うっ!
それは違うの。
葉山くん、うちの学校に
好きな子がいるって言ってたよ?」
「じゃ、そのプリント見せて。」
「?」
「じゃ、この『葉山くん』の
IDと携帯番号は?
これって前回と全く同じパターンだけど、
モモちゃんに
学習機能は備わってないのかな?」
蒼介さんが鋭い眼差しを向けたまま
顔を近づける。
「し、知らないよ。
本当に知らない。」
もう、蒼介さんが怖くて泣きそう。
「だ、だって、
蒼介さんとつきあってることも
蒼介さんに会うために
ここに来てることも知ってるし」