「リストーネで行商に行ってた奴からさっ

き聞いたんだ。宿屋から見た城に火の手が

上がってそれでただ事じゃないって朝早く

にこっちに戻ってきたんだと」

グレンはカップにいつも俺が気に入って飲

んでいるハーブティーを入れるとこっちに

よこしてきたカップを受け取って黙ってそ

れを口にする。

「クーデターか、どこかの国が奇襲をかけ

たのかは分からないけど、王族にとっちゃ

迷惑な事だ」

確かに、国王やその家族、兵士、メイドも殺

されたんだろうな…それを考えると王族に

関わっていなくて良かったと内心思う。

「取り敢えずリストーネに行ってみる。運

良く検問所を通れたら御の字なんだが」

「いつもは顔パスで通れるって言ってた

な。今回ばかりは難しいんじゃないの

か?」