中肉中背で眼鏡をかけたダークブラウンの

髪の優しそうな顔立ちの割に力のあるグレ

ンに胸ぐらを掴まれたままではさすがに身

動きが取れない。

「目をつけてるドラゴンは予約済みだ。と

りあえず寝かせろ」

「昼前にまた起こしに来るからな」

そう言ってグレンが急に胸ぐらを掴んでい

た手を離したもんだから俺はベッドに体を

打ち付けられた。

「いてて…もう少し優しくできないのか?

一応客だぞ、客!」

言ったところでグレンの姿はとうになかっ

た。

サルバトール公国の国境にある町ロイゼに

立ち寄った理由はドラゴンライダーという

特殊な仕事をしている俺が以前に乗ってい

たドラゴンが不意の怪我を負ってしまい、

パートナーとしての契約を解消しなければ

ならなくなった。そこで隣国のリストーネ

にある唯一ドラゴンを生産育成している施

設を併設しているギルドで新しいドラゴン

と契約を結ぶ為だ。