翌日
  衣織の会社では自分のデスクに座りカバンの中を必死で何か探している衣織
衣織 「無いっ!!」
  一同、衣織の声で振り向く
  衣織、無言のまま立ち上がり、机の下を見たり、引き出しの中を引っ張り出す

美和 「(呆れ顔で)あんた、何探してんの~?」

衣織 「・・・(机の下から顔を出しながら)・・・携帯・・・無いの~」半べその顔

美和 「え~!?どこやったの?」一緒に探し始める

衣織 「思い出せない・・・」

美和 「あんたどっかに落としてきたんじゃないの、デート中に」

衣織 「・・・・あっ!!!」
  昨日蒼波とのやりとりを思い出した衣織

衣織 (あの時だ・・・)


  ビルの屋上
  衣織と美和でお弁当を広げている
美和 「ばかね~。でもその彼が拾ってくれてる可能性が高いから電話してみたら?」

衣織 「・・・でも・・話しづらそうな人だったんだよね」卵焼きを口に入れながらため息をつく衣織

衣織 (…超きれいな顔なんだけど)

美和 「でもあんた、このまま携帯ないと困るでしょ~?」

衣織 「う・・ん」

美和 「それに彼が拾ったとは限らないわよ。他の大学生が拾ってるかもしれないし。それよりも変な人に悪いことに使われでもしたらど~すんのよ!ほら。」自分の携帯を渡す美和

衣織 「・・・」しぶしぶかける


  大学
  食堂でランチを食べている蒼波と遼介
  蒼波のポケットから着信がなる
遼介 「・・?」ちらっと蒼波を見る

  蒼波、黙ってポケットから鳴っている携帯を取り出す

遼介 「(じっと携帯を見て)・・お前・・いやにかわいい携帯もってんな」怪しい目で蒼波を見る

蒼波 「・・・俺んじゃないから。 もしもし?」

  ビルの屋上
衣織 「!」出た出たと手振りで美和に伝える衣織
  話せと手振りで指示する美和

蒼波 「??」携帯を一度耳から話すがもう一度耳につける

衣織 「あ、あの、もしもし私、あなたが出てる電話も持ち主なんですが」

蒼波 「・・・ああ・昨日の」
蒼波 (袴フェチ・・ね)

蒼波 「あの後、落ちてるのに気づいて拾っておいたけど」

衣織 「ありがとうございました! で、あの~・・・」

蒼波 「え?」

衣織 「今日取りに伺ってもいいですか?無いと不便で・・・都合のいい時間言ってくだされば、その時間に伺います」

蒼波 「・・・(時計を見る)・・じゃあ、六時に」

衣織 「はい!ありがとうございます」相手が目の前にいないのに頭を下げてる

美和 「・・・天然だわ(苦笑)」


  大学
  衣織との電話を切って携帯をポケットにしまう蒼波
  遼介、電話のやり取りを聞きにやにや顔

遼介 「お前ばっかし~新しい出会いがあったな~」

蒼波 「携帯拾ったから、持ち主に返すだけだ」再びランチを黙々と食べ始める

遼介 「相変わらずだな~、お前は」頬杖ついて蒼波をながめる

遼介 「この学校に、どんだけお前のファンがいると思ってんだよ。俺が知ってる限りでも10人はいるんだぞ~~。ほら、あそこにも」食堂の遠くに座ってるスタイル抜群な女を指差す

  蒼波、ちらっとみて視線をすぐそらす。
  立ち上がりランチのトレイを片付ける蒼波
  遼介もそれにならう。 

遼介 「あいつ、ちなみに今年の大学のミスコン一位候補。そしてお前の大ファンだ」蒼波に耳打ちする

蒼波 「興味ない」 トレイを戻して食堂を後にする。

  遼介、ちらっと女を見て、すぐ蒼波を追う