僕はだから、バイトを増やした。
もちろん君に内緒でね。
だって驚く君の顔が見たいから。
君に会える時間は減ったけど、きっと君は大丈夫。
ホラ、ケータイから聞こえる君の声は今日も明るい。
「また今日も会えないのね?…大丈夫よアタシね、新しい長靴を買ったのよ。良く切れるハサミもね?哀しい記憶を全部切り取ってしまえるようにね。素敵じゃない?」
君は時々ヘンな事を言い出す。
…素敵だね。
君の長靴見てみたいな。
新しいハサミは君の笑顔を切り取りませんように。
…寂しくないね?
もう少し待っててくれるね?
「寂しくないよ。だいすきよ。」
ざらついた声に聞こえるのはたぶん電波が悪いせいだ。
君はきっといつもの可愛い笑顔。
僕の大好きな明るい笑顔。
君の腕を飾るブレスレット。
水玉とレインリリーのブレスレット。
驚く君の顔が早く見たいな。
待っててね。
完