「いらっしゃいませ、ご注文は?」

私はお客さんに注文表を渡す。

「ん、お前かなぁ」

「馬鹿、もぅ一回聞くけど注文は?」
私はキッと睨み付ける。

「こ、珈琲で...」

青ざめながら私を見上げる男。

「て言うか何の用なの?」

私はその人を見下ろす。

「それは後で、もぅ終わるんだろ?」

その人は
煙草に火をつけながら言った。

「うん」

私はマスターが作った珈琲を
その人の目の前にカシャンと置くと
親指を カウンターに向けながら
「着替えてくるからそこに居て」
と言った。