「ふぁぁ」

僕の隣で永倉さんが大あくびをする。

「結構、経ちましたけどね。ハズレだったんでしょうか」


「ハズレの可能性は低いかなーほーら見て」


藤堂さんが指差した方向には、黒い羽織を着た男たちの集団。
間違いなくハズレではない。むしろ当たりだ。


「という事は、あんずちゃんもうすぐ来るはずですよ」


「無事に来れると良いが。」


「ちょっと永倉さん!変なこと言わないで下さい!」


無事に決まっているでしょう。あんずちゃんなら出来る。






....でて。来ない。

「かれこれ何時間待ってるんだよ。只の思い過ごしじゃないのか?」



永倉さんはそう言うけれど、あの黒い羽織は...。

と思っていると池田屋からあんずちゃんが叫ぶ。


「皆さん当たりです!池田屋です!!!」


(来た。無事だ。これで行ける!)


誰もがそう思っていた。
だが、あんずちゃんはパタリと倒れる。


「あ。あんずちゃん!!!!」


あんずちゃんの後ろには抜刀した男が立っていた。それを逃すまいと僕の刀がその男を斬りたがっている。



行かなければ。