「っつは!重っ!!」


池田屋に来たのはいいんだけど。この雑用。


「今日は池田屋にとってとても大切なお客様だからね。いつもよりたーんと料理を出さないといけないんだ。アンタたちしっかり働いておくれよ!」



...多分その話をするのって、斉藤さんたちの向かっている四国屋じゃなくてココだと思う。





手に持った荷物をおろし。お膳を運ぼうとゆうターンしようとした時だった。


「いらっしゃいませ。よくおこしになられました。二階へどうぞ」






女将さんと女中があたまを下げ、そこへ男の人の集団が池田屋ののれんを次々と潜って二階へ上がっていく。
私はドサクサに紛れて先頭を女将さん、真ん中を客、最後に女中となっている列に紛れ込んだ。



座敷に着くと一斉に女中たちが出て行く。
当然私は出て行くタイミングをのがしてしまった訳でして.. .。


「あんずさん御下がりなさい」

そこへ女将さんの救いの一言が。

「はい。失礼します」

襖に手を掛けようとしたときだった。

「いいじゃないか。人数は多い方が楽しいだろう。ここの人間は信頼できるからな位でも話はしないだろうよ」