(まだ寝不足だけど寝れた)
朝を迎え、布団をたたんでいると
目線を感じる。
振り返ると....
(やっぱり。斉藤さんだ)
目があったと思えば逸らされる。
もしかして、いやいや。
「はよーーっす!っと?なんだなんだ?」
とそこへ永倉さんがはねた髪の毛を抑えながら部屋を訪ねてきた。
「おはようございます」
「おう。あんずさんちょっと。はじめ、あんずさん借りてくぞ」
「えっ....」
うんともすんともいえないまま永倉さんに
手を引かれ、斉藤さんの部屋を後にした。
どこまで行くのかと思っていると
丁度廊下の角を曲った所で永倉さんの足が止まった。
そして、クルリと私の方に向きを変えると。
「なぁ!あんずさん?何もされなかったか?」
(.......)
「ゲホッ!」
思わぬことを聞かれ昨日の夜の事を思い出してしまった。
何故か永倉さんは眉間にシワを寄せ、盛大なため息をつき。
「手が早すぎる....いや。誰でも」
とぶつぶつ言い、チラチラこちらを見ている。
私は悟った。でも!
「やっ。やましい事なんて何もなかったですよ!」
と思わず口に出してしまった。
すると永倉さんは頭を抱え。
「あぁ。気にしてない。気にしてないぞ」
と呟いて
何処かへ歩いて行ってしまった。
私は思った。
(この人わかりやすっ!!)
永倉さんの背を見送り
斉藤さんの部屋へと廊下を歩いていた時だった。
急に口を布のような物で塞がれ、
空いた部屋へとつれこまれる。