(それにしてもこの暗さ、無理かも)





そう思っている時だった。
クスリと斉藤さんの笑う声がしたかと思うと
斉藤さんが後ろから私をだきしめてきた。





「こうすれば...もう、怖くない」




「さっ!斉藤さん!?」





ゴソゴソと着物の中をまさぐるように
斉藤さんの手が動く。



(なっ!何しているんだこの人!)


と慌てふためいている私が面白かったのか
突然喉を鳴らして笑う斉藤さん。





「初心な方だ...ふふっ。何もしやしない」



と言い放ち、着物から手が離れた。
この斉藤さん行動には着物の着かたがおかしかったらしくただしてくれたらしい。




私はと言いますと、この暗闇で顔が隠れていることに安心をしていた。なんせ真っ赤ですから。




「それに..手を出したら、叱られてしまう」





「.....」




今の言葉で私の心臓は今にもぶち壊れるほどやばかった。
その反面彼の無口な性格の裏側、意地悪い斉藤さんが見れたということで。
そのせいでなかなか寝つけなかったんだけど。