*蒼*
はぁ…毎日、毎日よく来るよな。先輩も来て…。
「相変わらず、蒼人気は凄いね。」
「羨ましい限りだな(笑)」
「俺も、負けてないけどな(笑)」
帝、爽汰、弘樹が続け様に話しかけてきた。
「毎日、勘弁して欲しいわ。」
ぼそっと本音が出てしまった。
「ははっ。まぁ、そうだよな。」
帝は、家が金持ち。俺と似たような境遇なのにスゲェ楽しそうにしてる。
「まぁ、イケメン四人衆が全員同じクラスなんだから仕方ねぇさ(笑)」
弘樹は自負しまくりな奴だか、ほんとにいい奴。さらっとジョークを言えて、その場を和ませてくれる。
「また、弘樹のアホ臭い冗談。そろそろ自分からフィルター外せよ(笑)」
爽汰は弘樹と中学時代から一緒でほんとに弘樹と仲がいい。冷静に物事を見れて、分析してアドバイスして…。
俺はこの3人が羨ましくて仕方ない。
出会ったときからずっと。
「なぁ、帝。あの子、随分前に帝と話してなかった?」
爽汰が急に廊下にいる人混みから一人の女の子顎で指した。
「どの子?…。そうかもしれない。爽汰、記憶力良すぎだろ。」
「まぁな。人の顔覚えるのは得意!勉強無理だけど(笑)」
俺は爽汰と帝の会話を聞きながら、ふっと廊下側を見た。ん?あの3人…。どっかで…。気のせいか?
チャイムが鳴り、人混みが無くなり始めた…。俺は目を凝らして制服のボタンを見た。………。あっ!
ガタンっと席を立ったが
「!?んだよ!いきなり!」
弘樹がつっこんで来た。
「あっ。いや。なんでもない。」
教室が一瞬ザワめいたが直ぐにおさまった。
このボタンは間違いなくあの子のだ。右ポケットに手を入れ、ギュッと強く握り締めた。