*春*
「あー!蒼様がきたー!」
珠莉は窓から見ていた。
「きゃぁ♪爽汰様と弘樹様もいるぅ!朝から良い目の保養だわー。」
彩華がそれに反応して
「えっ!?帝様は?」
「今日はいないみたいよー?」
「なぁんだ…。つまんない。」
珠莉と彩華は正反対の態度だった。
「あははっ!二人ともおもしろーい(笑)」
私は思わず笑ってしまった。
「何よぉ。いいじゃない。」
ぷくっと頬を膨らませた彩華は帝さんに恋しているらしい。前に1度話したことがあるらしく、それからゾッコンらしい。珠莉はね、うん。ミーハーだからね。
「あたしも挨拶したいなぁ。」
「してみればいいんじゃない?珠莉ならできるって(笑)」
私は少しからかった。
「無理よぉ。あたしは遠くから見てるだけで、もぅ、ドキドキなのよ。」
まるで、アニメか何かのヒロインのように、遠くを見ていた。
「はいはい。またですかー(笑)」
彩華は珠莉をかるーくあしらった。
「なっ…。ひどいわねー。彩華は(笑)」
ふたりのじゃれ合いは見てて楽しい。
「あれぇ?はる、ボタン1個ないよ?」
彩華が気づいて
「ほんとだー!まさか…引きちぎられた!?」
珠莉が面白く便乗してきた。
「引きちぎられるって(笑)それはないわ。なんかね、気づいたらなかったのー。」
「そーなんだ。見つからなかったら予備のあげようか?」
彩華が聞いてくれた。
「うん。ありがとー。」
「えー!あたしがはるにあげるのー
!だからさやかはだめー(笑)」
「何よそれ(笑)」
私は珠莉の面白さに吹いてしまった。
「あっ!ってか、あれ、帝様じゃない?」
私は彩華の方を見て、知らせた。
「えっ!どこどこ?」
彩華は必死に探していた。
「ほらっ、あの車ー!」
彩華は指差す方を見て、ニコニコしていた。
「はぁ。お話したいのに、できないこの距離。またチャンスないかなー。」
「はい、恋煩いね(笑)」
珠莉が軽くあしらった。
「あたしは、真剣なのー!」
彩華が膨れた。
「まぁ、まぁ。珠莉もそーやってからかわないのー(笑)彩華、真剣なんだから。」
「だって、彩華可愛いんだもん(笑)」
「二人ともやめてよー(笑)」

そうこうしているうちにチャイムが鳴り
賑やかな廊下がだんだんと静かになり始めた。私たちも教室に戻り、朝のHRが始まるのを待った。