*春*
「ふわぁ…。もう、朝か。」
大きく欠伸をした私。いつものように背伸びをして、制服に手をかけた。
あれ…?ない。
そう思って制服のボタンを探しはじめた。
無い無いない。なんでー!?
私は急いで階段をかけ降りた
「おかぁさーんっ!ボタン1個ないんだけどー!」
「またー?知らないわよ、ボタンなんて。」
前にも1度無くしたことがあった。
「まぁいいや!ご飯食べる!」
そう言って、用意されてる食事に手をつけた。
なんでないんだろ。前はすぐ見つかったのに。外に落としちゃったのかな。
そんなことを考えながら、もぐもぐしていた。

髪もセットして、カバン持って…。よし!
「行ってきまーす。」
いつもよりはテンション低めだけど、とりあえず家を出た。
イツメンの彩華と珠莉と毎日学校へ行ってる。この3人でいればほんとに楽しくて。
でも大抵する話は決まってる。
学校一、イケメンの笹木蒼くんの話。
「でさ、ほんと蒼様イケメンよね。」
「じゅりー、またぁ?まぁ、否定はしないけどねー。」
「ほんとね、じゅりはイケメン好きだもんねー(笑)」
彩華に続いて、珠莉をからかった。
「だってー。あの、こわーいとりまき女子の中には絶対入れないし、遠くから蒼様を見てるだけで幸せなのー!」
珠莉はいつものように、ルンルンしながら話していた。
「でもさ、あの人の家ってそれなりにお金持ちなんでしょ?」
彩華が唐突に言ってきた。
「そーみたいだね。ってことはうちらじゃ釣り合わないじゃん(笑)じゅり、諦めよ(笑)」
「別に、付き合うとかそんなんじゃないもーん。」
こんなことを話していたら学校についてしまった。
まだ、人もまばらで昼間とは大違いの静かな学校。でも、なんだかいつもとは違う静けさに、妙な胸騒ぎがしていた。