図書室に入ると本独特のにおいが漂ってきた。


 このにおいが私は大好きなわけで。


「んー・・・」


 今日は数学と英語の課題が出ていたのを思い出してカウンターでやることにした。速水は・・・まだ来てない。



 どれくらい時間がたったのか解らないけど、私は伸びをする。


「んんー・・・・。はぁ~・・・」


「お疲れ様」


「うぉう!速水・・・」


 速水は私の隣で微笑みながら言う。


「・・・・蠣祢」


 急に名前を呼ばれて私はドキッとした。


「な・・・何・・・?」


 なんだよ、ドキッて・・・・。らしくもない。


「・・・もう、走らねぇの?」


「・・・・そう・・・だね」


 私は小学校・中学校と陸上系の部活やクラブ活動に出ていたのだけれど、クラブ内や、部活動ないで、なぜかしら無視されたりするようになった。


 原因は私が入賞するから・・・らしい。といっても、一昨年ぐらいの話しなので気にも留めてないといえば・・・・違うかな・・?


 私はまた、同じことになるのが嫌なので陸上部には入らなかった。


 物凄く残念そうな顔を校長先生にされたけど。


 じつは私はスポーツ推薦で入ったようなものだ。まあ、学力もついていけるし、推薦で済ませたかったきが多かったのでスポーツ推薦で。


「・・・・結構早かったじゃん」


「・・・そう?」


 タイムは結構早いほうで。


 私が陸上部に入らないのは無視されたこと意外にもう1つある。



 ・・・・速水と同じ委員会になりたかったし、少しでも一緒にいたいという願望があるのと、足を痛めてしまって全治4ヶ月だった。


 もう、走り方すら忘れてしまったかもしれない。


 体育はいっつも休んでるし。走りたく無いから。


「霞壬とはうまく言ってるの?」


 唐突に私が聴いたので少し驚いた顔をして


「・・・本音で言えばウザイ。っつーか、邪魔。臭いし」


 本音、ばっちり聞いちゃったぜ。まぁ、霞壬は香水とか付けてる。



 私は家の匂いと柔軟剤の匂いだけだ。香水とかくらくらして嫌い。



「もう1回だけ走ってみれば?あした体育あるし」


「は!?無理無理」


 なにをいいだすんだ。目の前の男は。