「ねぇ、皐。お願いがあるんだけど・・・」


 親友の霞壬が頼んできた。

 「どうしたの?」


 「あたし・・・速水のこと好きなの。だから、皐、同じ図書委員でしょ?好きなタイプとか聞いて!」


 えぇー・・・というと、お願い!と何回も言われてしまったので、仕方なく引き受けることにした。


 「ありがとう!皐っ!」


 霞壬のお願いだったから・・・ってずっと自分に言い聞かせてきた。

 
 でも・・・


 私だけに時折見せる優しい顔、私に何か会ったら必ずする頭をなでる癖。


 すこし低い声でたまに甘いことを言う。


 シトラスミントの香りが包み込む。


 私は・・・・なんであの時、お願いを聴いちゃったのだろう。


 聞かなければ今みたいな関係にはならなかった。


 いえなかったのかな・・?自分は臆病すぎたんだ・・・。



 だから、霞壬にさき越されたって何もいえなかった。


 でも、今は違う。


 ちゃんと、伝えるんだ。目の前の彼に。







「   速水っ・・・・!!    」