泣き止みただぼーっと街の景色を眺めていたら屋上のドアがあいた。


少し振り返ってみるとそこにはさっきまで私が想って泣いた人がいた。

そう、翼……

「何の用?」

私は冷たく言った。今はなにもなくても近寄ってほしくない。

「お前に話しがある。」

翼から、話…?
いや、聞きたくない。

「私には話すことなんてないよ。」

精一杯冷たく言ったつもり。話なんか聞きたくないから。

けど話すことないなんて嘘。

本当はいっぱいある。どうして冷たいのとか、なんで怒ってるのとか。

聞きたいことはいっぱいあるのに。どうして止まってくれないんだろう私の口は。

しばらくの沈黙。重い空気。

それを破ったのは翼だった。
「俺さ」