「春……お前……」
「おかえり、悠真」
案の定、悠真が帰ってきてわたしを見ると驚いた顔をして……何故か目をそらした。
わたしが立ち上がってスカートに付いた土を払っているのを無視して、鍵を開け奥のリビングに入っていく。
どうしたんだろう……。
ここ最近は玄関ではなくその突き当たりにあるリビングで話すことが多くなった。
そこは悠真の主な生活空間らしく生活必需品が詰まって置いてある。
けれどきっちり整理整頓も掃除もされているところが、悠真らしい。
わたしが寒いって言ったことがきっかけでリビングで話を聞いてもらうことになって、今更ながらに前『お前何で大人のそれも男と部屋の中で一緒なのに怖くないんだ?』と不思議そうに聞かれた。
別に怖くない訳じゃない。わたしは心の中で呟いた。
ただ悠真となら、どうなったっていいと思ってる。
やけくそじゃなくて、本当に。
「もう。会うのやめよう」
急にわたしを真っ直ぐ見つめた悠真の顔は真剣で、だけどどこか何かにムカついているようにも見えて、訳が分からなかった。