笑……今、尚はそう呼んだ?

前は確か上の名前だったはずなのに……。


急に全てが照れ隠しで裏切りのように思えてきた。


付き合ってる訳じゃないけど、もうすぐ付き合うんでしょ?

わたしのことも憐れんでるだけで、どうせ笑とわたしが可哀想だっていう話をしてるんでしょ?



あぁ……もう、やだ。


助けてくれたことへの嬉しさはすぐに絶望へと変わった。


「もう、いいから……。わたしなんて気にしてもらわなくていいから‼︎」


尚なんかもう……いい。どうせわたしは……わたしは……。


やっぱりわたしには、悠真しかいないんだ。



まだ家に帰ってないかもしれないけど……悠真の家に向かう。


いつも会うのは夜だから。


玄関の前で待ってたら気持ち悪がられるかもしれない。


けど悠真なら、受け入れてくれる。だって悠真は優しい。


悠真は偽善って言うけれど、誰かを放っておくことが出来ない優しさがあるから、わたしが虐められてるって知ってる悠真は……わたしを捨てたりしない。


だからどれだけでも待つよ。