それから悠真の家には何回か行った。

誰にも話せなかったような話も、たわいもない話も沢山して、聞いてもらった。


悠真はわたしが中学生ということに多分気付いてたはず。

だけど、そこには触れずに不安定なわたしの支えになってくれて、そんな関係を悠真がどう思っていたかはよく分からない。



「さーとうっ」


学校からの帰り道、聞くだけで虫酸が走るような声が後ろから聞こえる。


最悪……。

わたしは無視してそのまま歩き続けた。


「なに無視してんのよ」

「うっ……」


急に息が出来なくなって、何かと思うとフワフワしたマフラーのようなもので首を締め付けられていた。

苦しい……吐きそう。


喉から何かが込み上げてくるような感覚に襲われながらも必死に声を上げる。


「やめっ……やめて……」


もがきながら力のある限りの声を出すと、マフラーが緩んだ。



「何かさーこいつの苦しそうな顔見るとストレス解消になるんだよねー。まぁでもストレスの原因がこいつだから、自業自得か。

やることなすことぜーんぶムカつくよね」


「ねっ‼︎どうしてこんなにうざいんだろ?」


「生まれつきじゃない?」