「あ、来るんだ。ここら辺で何回か人助けしてるけど、来るって言った人初めて」


そんな独り言のような本音を溢して、わたしな急に腕を掴まれ引っ張られると、その人に連れられるがままに歩いた。




その人が言っていた通り家にはすぐ着いて家の玄関に座らせられる。


わたしは見上げた。


「小刻みに震えてたから。それ寒いからじゃないだろ?怖いなら来んなって話だけどまぁ玄関ならすぐ出てけるからいいだろ。

毛布と、吐きそうなら袋も必要?」


「袋は大丈夫です。えと。あの、あなたは……優しいんですよね?」


変な質問したよね……何言ってんだろわたし。


「……は?まぁでも残念ながら優しくないな。これだって偽善だよ。

誰か困ってる人がいて助けないと俺はそんな薄情者なのかってもう一人の自分が言って胸が痛むんだ。勝手に身体が動くとかじゃない、頭で考えた上での自己満足なんだよな……って俺何言ってんだろ」


「本人がそう言うならそうかもしれないですね」


「……だろ?」

「はい」



「お前、名前は?……や、別に聞いても意味ないんだけど」


「佐藤 春です。わたしも特に意味はないですけど、あなたの名前は?」



「潮波 悠真だ」