結果、同一の実例は見付からなかったが糸口らしきものは見付かった。
記憶障害に陥っている間の記憶は記憶が戻ると消えてしまうケースが多いとある。
更に面白い文書を見ると、臓器移植で人の性格が変わったり、記憶が移動してしまった事例があるらしい。
これが本当だとすれば、記憶は脳だけが行っているのではないという事。
植物は本能によって生きる知恵はあっても意識や記憶はあるのだろうか…?
花弁を失って捨てられた愛玩植物は花弁があった頃に生育されてた思い出はあるのだろうか…?
あるとすればそれは脳ではなく個々の細胞組織。
つまり、人は人の体に合わせて脳が作られただけの事で、人も脳だけでは考えていない。
体の組織一つ一つにも僅かな意識と記憶があり、その相乗作用が中枢神経を構成し、それが自身を支配するのだと私は考えた。
そして人間の持つ翼成物質と底知れない未知の生命力。
生化学に於いてもまだまだ追究は終わらない。
だから私も私なりに面白い推測をしてみた。
可能性として全く考えられないとんだ与太考察かも知れない。
しかし今の私に全くもって普遍的であり私の思考回路がそう言っている。
一年前の誕生日に記憶喪失になったのではなく、その日に記憶が戻ったとすれば…
そしてその根源は胎児まで遡る。