思い出とは裏腹に必要な知識だけはちゃんと備わっていた為、生きる為の不備はなく、たまに齟齬が生じる程度。
だから無理して誰かに話す必要もなかった。
然しながらその無機的な会話にはいつも難儀し、自身の異常さにも気付かされた。
やはり私は間違った事をしているのだろうか?
皆を騙しているのだろうか?
だがこれだけ知識のある私が話して、
一体誰が信じてくれるだろう…
話す事すら面倒である。
そして何より家族に余計な心配は掛けさせたくない。
自分の事、周りの事は粗方理解出来るのに過去の記憶は何一つ思い出せない。
それは今の私にとって、無駄な12年間を生きてきた気がしてならなかった。
私は愛玩用の植物か…